INCIERGE

INSIGHTS

「あれどうなってますか?」と聞かれない事務所へ。顧問先の不安を消す『プロアクティブ通知』

2025/12/16 INCIERGE
士業 業務自動化 進捗報告

はじめに

顧問先から「先日の件、どうなってますか?」とメールが来て、ドキッとする。 慌てて進捗を確認し、「現在進めております、あと数日で…」と言い訳のような返信をする。

このような経験はないでしょうか。 顧問先からの「進捗確認」が来ている時点で、実は顧客満足度は下がっています。彼らは不安だから聞いてくるのです。 逆に言えば、**「聞かれる前に伝える」**だけで、信頼感は劇的に高まります。

本記事では、手間をかけずに顧客の不安を解消する、攻めの進捗報告(プロアクティブ通知)の仕組みについて解説します。

なぜ「タスク管理ツール」を入れても解決しないのか

多くの事務所が、業務管理のためにKintone(キントーン)やTrello、専用の業務管理ソフトを導入しています。 これで社内のタスクは見える化されました。しかし、顧客からの「どうなってますか?」はなくなりません。

社内の「見える化」は、顧客には見えない

当然ですが、社内の管理ツールを顧問先が見ることはできません。 事務所内では「順調に進んでいる」と分かっていても、顧客からはブラックボックスです。 1週間連絡がなければ、顧客は「忘れられているんじゃないか」と不安になります。

「報告」をタスクにすると忘れる

「毎週金曜日に進捗報告メールを送る」というタスクを作っても、繁忙期には後回しにされ、結局送られなくなります。 「報告」を人の手作業に依存している限り、抜け漏れは防げません。

本当に見るべきは「業務の流れ」

進捗報告を「点」ではなく「線」で見てみましょう。

  1. 着手(Start): 作業を開始する
  2. 処理(Processing): 計算や作成(数日〜数週間)
  3. 完了(Complete): 成果物が完成する
  4. 報告(Report): 完了したことを伝える

問題は**「2. 処理」の期間**です。ここが「沈黙の期間」となり、不安を生みます。 しかし、処理中にいちいちメールを打つのは手間がかかりすぎます。

最初に取り組むべき「入力側の最適化」

解決策は、「報告メールを書く」ことではなく、**「社内ツールのステータスを変えたら、自動で通知が飛ぶ」**仕組みを作ることです。

1. 「完了」ではなく「着手」を伝える

業務管理ツールでステータスを「未着手」から「作業中」に変えた瞬間、システムが自動で顧問先にチャットを送ります。 「本日、〇〇の件に着手いたしました。完了まで今しばらくお待ちください」 たったこれだけで、顧客は「あ、やってくれているんだ」と安心し、問い合わせをする必要がなくなります。

2. 「中間通過」を自動で知らせる

・資料が揃ったとき:「資料を受け付けました。これより確認に入ります」 ・一次チェックが終わったとき:「一次計算が完了しました」 ・電子申請が完了したとき:「公文書が発行されました」

これらを、担当者がわざわざメールするのではなく、業務プロセスの通過点をトリガーとして自動配信します。 担当者は「いつも通り仕事を進めるだけ」で、勝手にマメな報告が行われるようになります。

3. 顧客ごとに「好きな場所」へ届ける

A社はメール、B社はChatwork、C社はLINE。 システム連携を行えば、事務所側は一つのツールで管理しつつ、通知先を顧客ごとに自動で振り分けることも可能です。 これが「究極の顧客目線」のDXです。

まとめ:信頼は「接触頻度」で作られる

「仕事が速い」こと以上に、「状況がわかる」ことは信頼に繋がります。 皮肉なことに、何も言わずに3日で完璧に仕上げるよりも、毎日「いまここまで進んでいます」と通知しながら5日かける方が、顧客の安心感が高い場合さえあります。

「聞かれる前に、自動で伝える」 この仕組みを入れるだけで、あなたの事務所は「安心して任せられるパートナー」へと変わります。

自動化の実装に進む前に

ツール導入で失敗しないために、まずは自社の「業務構造」が整っているかを確認することをお勧めします。