INSIGHTS
自動化の実装に進む前に:なぜ成功する会社と失敗する会社があるのか
1. はじめに:立ち止まるための時間
ここまで、業務の「構造」に関する記事を読み進めていただき、ありがとうございます。 このページは、次のステップである「自動化の実装」に進む前に、一度立ち止まっていただくためのチェックポイントです。
自動化やシステム導入は、決して安易な解決策ではありません。 準備が整っていない状態で実装を進めることは、コストの無駄遣いになるだけでなく、却って現場の混乱を招く原因となります。
ここで一度、冷静に自社の状況を確認し、「今進むべきか、まだその時ではないか」を判断してください。 売り込みの場ではありません。あなたの会社の現在地を確認するための時間です。
2. なぜ、自動化は失敗するのか
多くの自動化プロジェクトが頓挫するのは、ツールの機能が足りないからではありません。 また、AIの性能が低いからでもありません。
失敗の最大の原因は、「曖昧さ」をそのままシステムに乗せてしまうことにあります。
人間の業務は、多少の曖昧さを含んでいても成立します。「いい感じにやっておいて」「いつものように処理して」という言葉で、現場が回るからです。 しかし、システムにはその「阿吽の呼吸」は通用しません。
構造上の欠陥(曖昧さ)が残ったまま、無理やりデジタルツールを導入しようとしたとき、そのプロジェクトは必ず停止します。
3. 「準備ができていない」とはどういう状態か
具体的に、どのような状態が「まだその時ではない」のかを定義します。
-
判断基準が「人」によって揺らいでいる 同じ見積もり依頼でも、Aさんが対応すると安くなり、Bさんが対応すると高くなる。このような「属人的な判断ブレ」がある状態では、自動化のロジックを組むことができません。
-
例外処理が「標準」になっている ルールはあるものの、「今回は特別に」「急ぎだから」といった例外処理が日常的に発生している状態。例外が全体の2割を超えると、システム化のコストは跳ね上がり、運用が回らなくなります。
-
プロセスが「可視化」されていない 業務の流れが頭の中だけにあり、紙やホワイトボードに一本線で描くことができない状態。どこで情報が止まっているかが客観的に見えないため、システムを入れてもボトルネックが解消されません。
4. 判断基準(チェックリスト)
以下の条件を、あなたの会社は満たしているでしょうか。 事実に基づいて確認してください。
✅ 実装に進むべき状態(YES)
- 入力の定義: 業務を開始するために必要な情報(いつ、誰から、何が)が固定されている。
- 処理の定義: 「もしAならばBをする」という判断ルールが、言葉もしくは図で説明できる。
- 合意形成: 現場の担当者が、手書きやExcelでの管理をやめることに同意している。
- 目的の特定: 「なんとなく楽に」ではなく、「この入力作業をゼロにする」という具体的な削減対象が決まっている。
🛑 まだ進むべきではない状態(NO)
- 業務のルールそのものが、その場の状況判断に依存している。
- 「システムを入れれば、なんとかなる」と考えている。
- 現場が現状維持を望んでおり、トップダウンだけで進めようとしている。
もし「NO」に該当する場合、焦ってツールを導入すべきではありません。 まずは業務フローを整理し、ルールを明文化すること(構造化)から始めてください。
5. 次のステップへ
ここまでのチェックで条件を満たしている場合、 あなたの会社は「自動化の実装」に進める可能性があります。
ただし、実際に進めるべきかどうかは、 業務の前提条件や例外の扱い方によって最終判断が分かれます。
INCIERGEでは、実装に進む前の最終確認として、 30分のオンライン相談を行っています。
ツールの売り込みは行いません。 「今、実装に進むべきかどうか」だけを一緒に確認します。
→ 30分相談で「実装に進めるか」を最終確認する
/contact/
※ まだ準備ができていないと感じる場合は、 Insightsの記事に戻り、構造整理から進めてください。